平成13年・刑事訴訟法第2問
問題文
傷害事件の公判において、次の各場合に、犯行を目撃した旨のAの検察官面前調書を証拠とすることができるか。
1 Aは、公判期日に証人として出頭し、「はっきりとは覚えていない。」旨を繰り返すだけで、その外は何も述べなかった。
2 Aに対し、証人として召喚状を発したが、Aは外国に行っており、帰国は1年後の見込みであることが判明した。
答案構成
一 伝聞法則
1 総説
法廷での証言に代えて書面で代用することはできない(320条1項)。
供述証拠の性質(知覚・記憶・伝達の過程で誤りが生じやすい)→公判廷における証人尋問により補正される必要有り。→しかし、伝聞証拠ではそれができない。よって、原則として証拠能力否定。
ただ、一定の場合は、書面でも証拠として使用する必要が有り、かつ証人尋問をへた供述証拠に匹敵する信用性が保障される状況(特信状況)にあるものもある。その場合を伝聞例外として321条〜328条で規定している。
2 検察官面前調書(321条1項2号)
二 小問1
1 321条1項2号のうち、前段(供述不能)と後段(矛盾供述)どちらを適用すべきか・・・前段を適用すべき。
なぜなら、この場合、記憶がないというだけで矛盾供述にあたると解するのは不当だからである。(矛盾供述について、わずかな違いでもこれに当たるとすると、ささいな供述の食い違いを理由に検面調書の証拠能力が肯定される余地を残し妥当でないため、限定して解釈する必要がある)
2 321条1項2号前段の解釈
限定列挙か例示列挙か?・・・例示列挙と解する
3
三 小問2
321条1項2号前段の列挙事由に当たる