平成13年・刑事訴訟法第1問

問題文

 詐欺事件を捜査中の警察官は、「磁気記録テープ、光磁気ディスク、フロッピーディスク、パソコン一式その他本件に関係する一切の物」を差し押さえるべき物とする捜索差押許可状を請求し、その発布を得た。警察官は、この令状に基づいて、捜索差押えの現場で、その内容を確認することなく、フロッピーディスク100枚を差し押さえた。
 以下の手続に含まれる問題点について論ぜよ。



答案構成


 「・・・その他本件に関する一切の物」という記載は令状主義に照らして妥当か?
 令状主義(憲法35条・218条・219条)の趣旨・・・@裁判所による捜査機関のコントロール(人権保障)A差押さえを受ける者に対する告知(110条)
 差し押さえるべき物は明示しなければならないのが原則(一般令状の禁止、憲法35条1項)。
 しかし、令状の発布の段階では差し押さえるべき物が具体的に明らかでない場合が通常なので、ある程度抽象的な記載でも、明示があったといえる。
 本問の記載は、具体的に差し押さえるべき物が列挙されているので、その意味で明示されているものと言える。

 現場で内容を確認せずフロッピーディスクを包括的に差押えた行為は許されるか?  →「その他必要な処分」(220条、110条)に該当するかが問題。
 コンピューター技術の急速な発達を考えると、現場にあるパソコンでフロッピーディスクの内容を確認すると、特殊なプログラムにより内容が消去される危険がある。
 よって、いったん包括的に差し押さえた上で、捜査機関内のパソコンで内容を確認した上、被疑事実と無関係な内容のフロッピーディスクはすみやかに返還するという措置がとられるのならば、「必要な処分」に該当するといえる。



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