問題文
甲は,自宅で,知人Aと口論になり,激高してとっさに殺害することを決意し,部屋にあったクリスタルガラスの花瓶でAの後頭部を力任せに殴打した。Aは,頭蓋骨を骨折する重傷を負い,その場にこん倒した。甲は,ぐったりとして動かなくなったAの様子を見て,Aが死亡したものと考えた。その直後,友人乙が甲方を訪ねてきたので,甲は,事情を説明し,Aの死体を山中に埋めることに力を貸してもらいたいと頼み,乙もこれを承諾した。そこで,甲及び乙は,甲の自動車の後部座席にAを運び入れ,甲が運転し,乙がAの横に座り,山中に向かった。その途中,Aが一度身動きをしたことから,乙は,Aが生きていることに気付いたものの,日ごろからAを快く思っていなかったので,このまま生き埋めにして殺してやろうと考え,甲にはAが生きていることを伝えなかった。そして,山中で,甲及び乙は,一緒に穴を掘り,その中にAを投げ込み,土を掛けて埋めたため,Aは,窒息して死亡した。
甲及び乙の罪責を論ぜよ。
答案構成
一 整理
花瓶での殴打→第一行為
山中で生埋め→第二行為
二 甲の罪責
第一行為の際に殺人未遂罪が成立。
Aの死の結果は第二行為によって発生したのであるが、 甲には死体遺棄の故意しかないことから問題に。
第一行為と第二行為とを連続的にとらえるか別個にとらえるか問題になるが、両行為はともにAの法益を侵害するものであるが、保護法益の種類は別であり、それぞれ甲の独立した故意にもとづく犯罪といえるから、別個にとらえ、併合罪的な関係が成立すると考えるべきである。
三 乙の罪責
第一行為後の、死体損壊の共犯として加功。
第二行為前にAの生存を知り、殺意のもとに第二行為を甲とともに実行。
不真正不作為犯による殺人は成立するか?→先行行為はないが、保護義務は発生するといえる。
四 まとめ
甲には殺人未遂罪が成立する。
乙には殺人罪が成立する。
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